「歯並びが気になって矯正を考えているけど、これって保険きかないの?」
そんな疑問をお持ちの方は少なくありません。見た目の改善だけでなく、噛み合わせや健康にも関わる矯正治療。
なぜ多くのケースで保険が使えず自費になるのか、この記事でわかりやすく解説します。また、一部で保険が適用されるケースや、医療費控除の対象になる場合についても触れていきます。
目次
■矯正治療は基本的に「自由診療」
まず結論からお伝えすると、一般的な矯正治療は保険が適用されず、自由診療(自費診療)となります。そのため、全額自己負担となり、治療費は数十万円~百万円程度になることも珍しくありません。
■なぜ保険適用されないの?
日本の健康保険制度では、「病気やけがの治療」を対象としています。
そのため、見た目の改善を目的とする治療や、美容目的の医療行為には保険が使えないというルールがあるのです。
矯正治療も、「歯並びを美しく整える」「見た目をよくする」ことが主目的と判断される場合は、たとえ噛み合わせに悩みがあっても、保険の対象外となってしまいます。
■例外的に保険が適用される場合もある
ただし、すべての矯正治療が保険外というわけではありません。
次のような特定の条件を満たす場合には、保険適用となることがあります。
◎先天性疾患などに伴う矯正
たとえば以下のような疾患が該当します:
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唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)
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ダウン症候群
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ゴールデンハー症候群
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骨形成不全症 など
これら厚生労働省が定めた疾患(数十種類)に該当する場合、認定された医療機関での矯正治療は保険適用になります。
◎顎変形症による手術を伴う治療
上記の疾患のほか、「顎変形症(がくへんけいしょう)」と診断され、外科的手術を前提とした矯正治療を行う場合にも、健康保険の適用が認められます。
いずれの場合も、専門の医療機関で診断と申請が必要です。
■保険がきかなくても医療費控除の対象になる?
自費治療とはいえ、一定の条件を満たせば医療費控除の対象になる場合があります。
詳しくは過去の記事にて解説していますが、発育に支障があると診断された子供の矯正治療や、咀嚼障害の改善などを目的とした場合の大人の矯正治療などが該当することがあります。
治療の目的や診断内容によって判断が分かれるため、気になる方は歯科医院で事前に確認しておくと安心です。
【「見た目」だけじゃない矯正の価値】
多くの矯正治療が保険適用外となる背景には、日本の保険制度の「目的重視」の考え方があります。
しかし実際には、矯正治療によって得られるメリットは、見た目の改善だけにとどまりません。
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噛み合わせの改善
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むし歯や歯周病の予防
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発音や呼吸、姿勢への良い影響
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食事のしやすさ・全身の健康への波及
費用負担は確かに大きいですが、将来の健康への“先行投資”として将来の健康を見据えた、前向きな選択肢のひとつです。保険が使えるかどうかだけで判断せず、気になることは専門の歯科医師に相談してみてください。